「ああ…はい、実はそうなんです」
一がさみしそうに笑った。
「そうか…伊草さん、ボディーガードの仕事やめちゃうんだな…」
ぼくもさみしくなって、ポツリと呟いた。
すると一と伊草さんが首をかしげる。
「いえ、伊草は“十院一を見守り隊”の見守り総司令官に任命されたのでボディーガードをやめるワケではありませんよ」
「ごめん色々ツッコミたいところがあるんだけど…まず、“十院一を見守り隊”って何?」
何かとんでもなく大きな部隊なのだけは、なんとなく分かるけれど…。
それと伊草さんに会えなくなるとは、どういう事だろう?
一が「えっと…そうですね」と口を開いた。
「僕を文字通り“見守る”部隊でして…伊草は現在、“現場で見守り隊”の隊長なんです」
「現場で?ああ、だからいつも一の近くにいたって事か…で、会えなくなるって事はそれが変わるの?」
「はい、次は“見守り総司令官”なので…十院家にある総本部で僕を見守り、次の“現場で見守り隊”に的確に指示を出す役職になります」
「へぇ…指示を出す___」
そこまで口にしてハッとする。
…総本部で一を見守り、指示を出す…?
ここにいないのに、どうやって一の様子が分かるっていうんだ?
だってその総本部は一の家…十院家にあるんだろ…?
「もしかして…どこかに監視カメラでもある…?」
ぼくの言葉に、一と伊草さんがニコリと笑う。
いや…待って!
せめて何か言って…!
「さて、伊草。僕たちもそろそろ雪玉を作って秘密基地に持っていきましょうか」
「承知いたしました、坊ちゃん」
そう言って2人がその場を去っていった。
小さくなっていく背中に、ぼくは呟く。



