「用意してあるって…何を用意してるんだよ?」
「何をって…七輪とモチだけど」
「何でそんな物持ってるんだよ…」
ぼくの問いかけに甘太郎が答える。
「年末からじぃとばぁ…じいちゃんとばあちゃんが遊びに来ててさ、七輪もそのとき持ってきてくれたんだ。七輪で焼くとモチがうまいんだよ…!」
思い出したのか、ジュルリと出てきたよだれを手の甲でぬぐう甘太郎。
彼はそのままゴクリとツバを飲みこむ。
「ちょっとコゲたところもカリカリでさ…お前たちとも一緒に食いたいなって思って」
「それは…ありがたいけど。それで何でかまくらが必要なんだ?」
「テレビとかで見た事ないか?かまくらの中で七輪囲んでモチとか焼いてるところ」
「つまり影響された、と」
実に甘太郎らしい理由だった。
ちょうどよく雪が積もったから行動に移したというところか。
まあ、確かにちょっと憧れる光景だけど…。
ぼくは小さく息を吐く。
「…分かったよ。かまくら作ろう」
ぼくの言葉に樹と一も賛同する。
「作り方も調べてんなら、やるしかないな」
「そうですね、動いていた方が体も温まるでしょうし…頑張りましょう」
「お前ら…!」
甘太郎が目をキラキラさせてぼくらを見た。
そして持参していたシャベルを手にして空へ掲げる。
「よし!オレが指示を出していくから、まずは皆シャベルを持ってくれ!」
『はーい』
返事をして、それぞれが樹の運んできたシャベルを手に取っていく。



