「一は優しいな!自分の願いじゃなくてオレたちの秘密基地のために貴重なプレゼント枠を使うなんて!」
「あはは、僕はこの場所が好きなんです。…大人になっても残っていてほしいから、そういう意味では自分のお願い事なんですよ」
一がニコリと笑う。
大人になっても残っていてほしい…か。
一にとってこの場所が…秘密基地が大切な場所になっているなら、嬉しい事だ。
「そういう願い事ってカッコいいよなぁ。オレなんて今年サンタさんに頼もうとしてるのホームベーカリーだぜ?」
「いいんじゃないか?甘太郎っぽくて」
ぼくらの笑い声がテントの中に広がる___。
そのとき、外でガサッと音がした。
「ご歓談中のところ、申し訳ありません」
『うわっ!?』
テントの入り口から聞こえてきた伊草さんの声に全員が飛び上がる!
…何か前にもこんな事あった気がするんだけど…。
「な、何ですか伊草!今日は何の予定も無いはずですよね!?」
一が驚きから身を固めたままの状態で伊草さんに言い放つ。
「も、申し訳ございません…。しかし、皆様に見ていただきたい物がありまして…」
「え…見ていただきたい物?」
ぼくたちは4人で顔を見合わせる。
そして入り口へと近づき、閉めていたチャックを開く。
その先には…ちらほらと上空から舞い落ちる粉雪が見えた。
「今年の冬の、初雪でしたので…降り止む前にお声がけさせていただきました」
穏やかに笑いながら、でも鼻を赤くさせ、寒そうな伊草さん。
そんな彼を見て、ぼくらは声を合わせてこう言った。
『テントの中にどうぞ、伊草(さん)』



