「んぐ…そんで、栄助と一はどうだ?無理にとは言わねぇけど、タダでウチのケーキもらえるから得だぞ!」
「すみません、僕はどちらの日も用事があって行けなくて…」
一が申し訳なさそうに眉を下げた。
甘太郎が笑う。
「いやいや、気にしなくていいぜ!…でも用事ってまた塾か?」
甘太郎の言葉に一が首を横に振って口を開く。
「いえ、習い事の方ですね…イブの日はヴァイオリンでクリスマスはピアノを教えてもらうんです」
「その2つって確か…先生たちが直接、一の家まで来てくれるんだっけ?」
うろ覚えだった情報を思い出しながら、ぼくが聞く。
一は頷いて苦笑した。
「先生方もお忙しい中、合間をぬって来てくださるので断りづらくて…あっ、でもケーキは甘太郎くんのお店で買わせていただきます!」
「そりゃ嬉しいな、まいどあり!」
甘太郎がニカッと笑う。
ぼくはチラリと横目で一の様子を見た。
…ここ最近、一の塾や習い事が多くなっている気がする。
その上、こうして律儀に毎日ぼくらと遊んでくれてもいるし…その疲れが顔に出ているように思う。
無理してないか?と聞いてみたいけど…“僕なら大丈夫です”って言われるだろうな、間違いなく。
一はあまり人に弱音を吐くタイプじゃないから…心配だ。
感情を外に出せずに、内側にモヤモヤをためこんで…いつかそれが爆発したときに一がツラくならないだろうか?



