テント内の一部が張り詰めた空気に包まれる中…。
「あ、家からミカン持ってきたんだけど一も食べる?」
「わあ、食べます。ありがとうございます」
ぼくと一はのんきにミカンをむいていた。
「栄助、俺も食うから1個ちょうだい」
「ほい」
差し出された樹の手の上にミカンを置く。
樹は受け取ったミカンの皮をむきながら、再度甘太郎へと目を向けた。
「さて…こっちは2日続けて手伝うんだ。当然、報酬のケーキも2日分…つまり2個もらう」
「そんな…!オレら友達だろ!?慈悲はないのか…!?」
「友達だからこそ、キッチリしとかねぇとな。…ちなみにケーキはどちらもホールで、中身はショートとチョコな」
「ちくしょうっ…!チョコまで要求するなんて抜かりがねぇ…!!」
何やってんだコイツらは。
ミカンを口に放りこみながら、冷めた視線を向ける。
横を見ると一も黙々とミカンを食べていた。
2人はしばらく押し問答を続け、その結果。
「…くっ…負けたぜ…」
甘太郎がテーブルの上に突っ伏した。
拳を握った樹が片手を上に上げる。
どうやらようやく話がまとまったらしい。
「父ちゃん、母ちゃん、甘七…オレ、頑張ったぞ…でもダメだった…」
「ほら、ミカンやるから元気だせ」
燃え尽きた様子の甘太郎の頭にミカンをのせる。
すると「おっ、サンキュ!」とたちまち元気にミカンをむきだした。
現金なやつだな。



