「いや、草はオレが1人で全部引っこ抜いたって!手伝ってもらったのはそのあと、少しだけだよ!」
「少しだけって…具体的には?」
「それは…これだよ」
そう言って甘太郎はズボンのポケットから白い袋を取り出した。
その中の物を手の平の上に出し、ぼくと一に見せる。
それは小さな粒だった。
「これは…何かのタネ…でしょうか?」
一の言葉に甘太郎が頷く。
「お前らに内緒でコレまいて、花が咲いたら見せて驚かすつもりだったんだよ」
「何だ、言ってくれたら手伝ったのに」
「だからサプライズにしたかったんだよ!バレちまったけどさ…」
しゅんと肩を落とす甘太郎にぼくは笑いかける。
「いいじゃん、楽しみができたし」
「あはは、そうですね。…ところでこのお花、なんて名前のお花なんですか?」
一の問いに甘太郎が「さあ?」と首をかしげる。
「母ちゃんが持ってるやつからテキトーに選んできたやつだからな」
「ぼくらへのサプライズをテキトーに選ぶなよ…」
「あ、でも袋に“20日”って書いてあった!だからそれぐらいで咲くんじゃないか?」
「じゃあ長くても1か月ぐらいでお花が見られるんですね、楽しみです!」
その1か月後。
甘太郎がタネをまいた場所から、立派な二十日大根が収穫できる事を…ぼくらはまだ知らなかった。



