「これは結んでるロープがほどけなかったとき用。そんときは結び目ごと切り落として、ロープも交換しようと思って」
樹が後方を振り返る。
そしてピッと指先で木々の生えた部分を示した。
「ちなみに今回も伊草さんに脚立を頼んでる」
「前回ので楽できたからって味を占めたな」
「伊草…」
一が頭を抱える。
ぼくは一を励ますようにその背中を叩いた。
樹が口を開く。
「あとついでに、ロープ切断用のデカいハサミも持っててもらってる」
「お前…あとでちゃんと礼を言っておけよ…」
「もちろん」
樹が頷き、ぼくは小さく息を吐く。
とりあえずブランコの事は樹に任せて大丈夫だろう。
また脚立を使うときにでも、動かないよう押さえるのを手伝えばいいかな。
「それで…あえてツッコまなかったんだけど…」
ぼくはテント前にいる1人の友人へと視線を向けた。
「甘太郎が持ってきたのって…まさかソレ?」
「おう!」
甘太郎が手に持ったソレを空に掲げる。
日の光に照らされ、ソレはキラリと輝きを放っていた。
「母ちゃんのガーデニング用があったから借りてきたんだ!これで土を掘りまくるぜ!」
「掘るな!掃除しろ!」
眉をつり上げるぼくに、甘太郎が唇をつんととがらせる。
「ちゃんとやるって!オレの担当はテントの中じゃないだけだって!」
「どういう事だよ」
「ほら、テントは栄助と一がやるんだろ?樹はブランコのメンテナンスって事で…オレは周りの雑草を抜いてキレイにしようかなって」



