樹と甘太郎が疲れきった顔でぼくを見た。
今回の事で普段のぼくの苦労が分かったたろう。
完全に火がついた一を止めるのは大変なんだ。
ぼくは暴走に終止符を打つため、パンッと両手を合わせた。
「そこまでだ、一…言いたい事は全部言えたか?」
「はい!」
一がスッキリとした顔で頷き、笑顔を見せる。
それを見たあと、ぼくはしょぼしょぼとやつれた甘太郎からエンピツを借り、ノートに一の案を書いた。
“お菓子でお化けを作る”、“それを壊すか溶かす”…うん、こんなところかな。
ぼくがノートを見ていると、横から樹が声をかけてきた。
「栄助は案、ねぇの?」
「え、ぼく?…そうだな」
少し考えたあと、ボソリと呟く。
「一が言ってたお化け作って、樹が言ってた家の形のケーキを被せて売れば面白いんじゃない?中からお化けがこっち見てる…みたいな」
「できっかなぁ、そんな手間がかかりそうなやつ…まぁ父ちゃんたちに言ってみるけど」
その後のハロウィン期間中、ぼくの何気なく言った案を採用した甘太郎のケーキ屋にはまさかの行列ができた。
その忙しさから、結果的にぼくのブランコ1回転事件も忘れてもらう事に成功したので…それに関してはよかったと思う。
本当に、よかったと思う。



