「…何?」
こちらを警戒するように樹がジトリとした視線を向けてくる。
ぼくはすかさずこう言った。
「新作スイーツ作りって、物作りと似ていると思わないか?」
「…は?」
「ほら、新しい物を一から作るんだ。テーマがあって、それに添うように材料を組み合わせて作品を作るなんて楽しそうだろ?」
「………」
樹が考えこんでいる。
あれは“少し面白そうかも”と思っている顔だ。
しばらくして樹はワシャワシャと髪をかきながら呟いた。
「仕方ねぇな…やるか」
「樹くん!?」
ガッツポーズをするぼくと甘太郎とは反対に一が叫ぶ。
このままの流れで今度は一に声をかけていく。
「一、聞いてくれ」
「そ、その手にはのりませんよ!」
樹を見て学習したのか、ぼくの声を聞きまいと両手で耳をおおう一。
…ふっ、甘いな!
ぼくは甘太郎のふでばこからエンピツを取り出し、開きっぱなしのノートに文字を書く。
ほぼ反射的に一の目が文字を追いかけた。
“ハロウィン + モンスター = バイオレンス”。
そうとだけ書かれたノートを見て一がハッとしたように息をのみ、耳から手を離す。
よし、食いついた!
仕上げとばかりにぼくは一の耳元でそっと囁く。



