ぼくたちのひみつきち


「はい、一。回答をどうぞ」


すっかりクイズ番組の出題者気分になっている樹が、一を指し示した。

…コイツ本当に悩み事あるのか?

今絶対この現状を楽しんでるだろ。

一が手を下げ、言葉を選ぶように話し始めた。


「僕は…もう少しデリケートなものなんじゃないかなって思うんです。…こう、具体的にいうならご家族の問題とか…」


「樹の家族…?」


なるほど、その可能性も高い気がする。

確か現在、樹と暮らしているのは…ご両親と父方の祖父母だったっけ。


「つまり…樹の家族に何かあって、それで悩んでるって事?」


ぼくの問いに一は首を左右に振る。


「それも考えたんですが、僕としては別のことかなって」


「というと?」


「はい…樹くんは、ご家族の誰かにやりたい事を止められた…もしくは否定されたんじゃないかなって」


一が目をつむり、深刻そうに告げた。

つまり、夢や目標を叶えられなくなったから、ここ最近上の空だったっていう事か…?

一が目を開き、樹を見つめる。


「僕もずっとやってみたかった事を両親に止められたという覚えがあって…もし樹くんもそうなら、その気持ちがよく分かるんです…」


「一、お前…」


抑制されがちな…大財閥である十院家の跡取りである一の言葉に、辺りがしんみりとした。

一に対して深い愛情で接するご両親のことだ。

彼を大切にし過ぎるがあまり、少しでも危ないと思ったら“やってはいけない”と抑制してしまうのだろう。


「…なあ、一」


ぼくは一の肩にポンと手をのせた。