「ほら、お前らも走れ!間に合わねぇぞ!!」
「ま、待ってください!」
「俺らも行くぞ栄助、置いてかれる」
「だぁもう!分かってるよ!」
走り出す一と樹を横目に、ぼくは後ろからついて来ようとしていた伊草さんへ口を開いた。
「ごめん伊草さん!その4人分の袋、秘密基地まで運んでおいて!!」
「え!?」
伊草さんが車内に放置されたままの景品・食品が入った袋と主人…一の背中を交互に見る。
「一はぼくらで見てるから心配しないで!それじゃあ秘密基地で!!」
それだけを言い放ち、前を行く3人を追いかけた。
それから走り続けて、どれくらい経っただろう。
ふと甘太郎が言い放つ。
「ここを右に曲がる!そしたらすぐだ!」
背丈の長い草をかき分けて進んだ先。
ぽっかりと開けた空間に出た、その瞬間___。
ドンッ!と大きな音が辺りに響き渡り、真っ暗な空に大輪の花が打ち上がる。
「…はは、スッゲ…」
樹が肩で息をしながら呟き、疲れた様子の一がへなへなとその場に座りこむ。
ぼくは息を切らしながら、次々と空へ打ち上がる花火に目を輝かせた。
汗を拭いながら甘太郎が笑う。
「へへっ…この前、偶然ここを見つけたんだ。静かだし、見晴らしもバッチリで特等席だろ?」
「うん…すごい」
小学校6年生の夏。
ぼくらは夜空に浮かんでは消えていく花を、しっかりとその目に焼き付けた。



