「それじゃあ1時間後、一と伊草さんがそれぞれの家まで迎えに来てくれるってことで…ひとまず解散!またあとでな!」
そう言うなり真っ先に帰っていく甘太郎の背中を見て、樹が呟く。
「その後、甘太郎の姿を見た者はいなかった…」
「不穏なモノローグを追加するんじゃない!」
そんなこんなで家に帰り、親に説明をして了承をもらい支度を済ませて…あっという間に1時間が経った。
“楽しんでおいで”とお母さんからもらったお小遣いをサイフに入れ、カバンにしまう。
「行ってきます」
そう言って外に出ると、ちょうどインターホンを鳴らそうとしていたらしい一がいた。
「栄助くん!よかった、ちょうどいいタイミングでしたね」
「早いな、もう迎えに来てくれて___」
そのとき、ぼくの目の前にある光景が飛び込んできた。
「うぉ…ベンツ…!」
そこにはいかにも高そうな車…黒塗りのベンツがあった。
こんな一般人しか住んでいない平凡な住宅地ではものすごく目立つ。
「さすがに今回はリムジンじゃないんだな」
冗談めかしてそう言うと、一が残念そうに呟いた。
「伊草からストップがかかりまして…」
「本気でリムジンで来ようとしてたのかよ…」
裏山もだけど住宅地も向いてないだろリムジン。
何でその車種にこだわるんだ。



