およそ、文字とは言えないミミズが這いずり回ったかのような汚い字が並んでいた。
ドリルを終わらせることに集中した結果、丁寧さを捨てたといったところか…。
ぼくは何も言わず、一を見て頷いた。
ま、まぁ、空欄は埋まっているし、怒られるのは甘太郎だから…別にいいか。
それに、これだけ“終わった”とはしゃいでいるところに水を差して、また勉強させるのも気が引けるし。
ぼくの考えを汲み取ってくれたらしい一が、苦笑しながら漢字ドリルを閉じた。
ふと、樹が口を開く。
「祭りが始まるまでまだ時間あるし、一度家に帰った方がいいんじゃね?一応家族に言っとかねぇとじゃん?」
「そうだね、子供だけで行くってなったら止められそうだし…何か考えないとだけど」
ぼくの言葉に甘太郎が一を見た。
「大人が同行すればいいんだろ?一がいれば伊草さんがついてくるだろうし、そこは気にしなくて良いんじゃね?」
「伊草さんを一のオマケみたいに扱うんじゃない」
話し合いの結果。
祭りに同行する大人の問題は、一のボディーガードである伊草さんに一任してもらうことになった。
そして近場ではあるが、家から祭り会場までの送迎も伊草さんが車でやってくれることになり…。
最終的には完全に十院家からの至れり尽くせりに甘える形となった。



