「ダメだぞ、一。甘太郎の宿題なんだから甘太郎にやらせなきゃ」
「栄助が母ちゃんと同じこと言う!」
もう疲れたと言わんばかりに、甘太郎が仰向けで寝転がった。
…まぁ秘密基地に来てから、もう1時間も勉強しっぱなしだったしな…。
集中力のためにも、ここらで少し休憩した方がいいかもしれない。
「じゃあ5分だけ小休憩な」
「小すぎねぇ!?」
「しょうがないだろ。漢字の書き取りはほぼ全ページ残ってるんだから」
読書感想文の方は明日にでもやらせるとして、漢字の方はなるべく今日中に進めさせておきたい。
それに___。
「それさえ終われば、あとは夏祭りを楽しむだけなんだ。そう考えたら頑張れるだろ?」
「…夏祭り…」
さっきまで絶望していた甘太郎の目に光が戻る。
今日、ぼくらの住む町では夏祭りが開催され、ぼくたち4人ももちろん参加する予定だった。
前日に“宿題が終わらない”と甘太郎に泣きつかれたときはどうしようかと思ったけど…祭りという“ご褒美”があれば宿題も頑張れるのでは?
そう思って今へといたる。
実際その効果は絶大で、今まさに甘太郎はやる気を取り戻したようにテーブルに向かっていた。
「おっしゃ!片づけてやるぜ!」
「その意気です、甘太郎くん!」
テントの中に再び文字を書く音が鳴り始める。
「それにしても意外だったな」
ふと、マンガを読んでいた樹が呟いた。



