「伊草さぁぁぁん!!アレよろしくぅぅぅ!!」
『うわっ!?』
突如として大声で叫ぶ樹に、ぼくらは耳を塞ぐ!
少しして木々の隙間から、ヒョコッと一のボディーガードである伊草さんが現れた。
その手には折り畳み式の長い脚立を持っている。
「え…え!?ちょ、樹…これどういうこと?」
主である一ではなく樹が伊草さんを呼び出す…という事態に困惑しながらそう聞いてみる。
樹はキリッとした顔でこう答えた。
「あの脚立、自分で持ってくんの疲れるから伊草さんに頼んでここまで運んでもらってた」
「人のボディーガードをパシってんじゃねぇよ!」
一もよく了承したな…そう思い一を見てみると、どうやらこちらも今初めて知ったらしく大きく口をあんぐりとしていた。
気づいていなかったということは、たぶん…一が甘太郎を怒っている間に話を済ませたんだろう。
樹め…抜け目のないやつだ。
というか伊草さんもよく一を放って脚立取りにいったな…。
「こちらでよろしかったでしょうか」
「うん、助かったよ伊草さん…これで一も楽しみにしてたブランコが作れる」
…あ、なるほど。
行動理由が主人である一のためだというのなら、伊草さんが簡単にパシられたのもまぁ納得できる。
「なんだ、一もブランコ楽しみにしてたんじゃん」
鼻歌を歌いながら脚立をセットする伊草さんを見つめつつ、ぼくは一に声をかけた。



