「そこで死人みたいになってる甘太郎はどうしたの?」
ぼくが指を差すなり甘太郎は涙ぐみながら「ごめん…ごめん…」とうわごとのように謝罪の言葉をくり返していた。
な…何々だ本当。
ぼくの言葉に一は瞳孔をかっぴらきながら答えた。
「甘太郎くんが事の発端、そして原因だったから少し怒っただけですが…何か?」
「ひぃ!?」
いつものようにニコリと笑った口元とは正反対に、その目元は一切笑っていない。
…いつも優しいやつが怒ったときって何でこんなに怖くなるんだろう…。
いや、それより今、一はなんて言ってた?
「え、甘太郎が発端で原因ってどういうこと?」
「それがですね…」
一が甘太郎を見つめながら大きくため息を吐く。
「昨日の夜、甘太郎くんが樹くんのお家に電話をかけたらしいんです」
「うん」
ぼくたちはまだスマホを持っていない。
中学に入ったら全員買ってもらう予定だけど、今のところ連絡手段は家に置かれている固定電話頼りだった。
一が言葉を続ける。
「そこで“秘密基地にブランコを置きたいから作ってほしい”と甘太郎くんがワガママを言ったそうで…」
「お前…それは無茶ぶりだろ…」
ジトリとした目で甘太郎を見る。
「そのときは簡単に作れる物だって思ってたんだよ!」
自我を取り戻したらしい甘太郎の声を聞き流しながら一に向き直った。



