「ぼくに最高の1年間を…思い出を、ありがとう」
じわり。
甘太郎の目に、キラリと光る物が見えた。
体を震わせた甘太郎は、ついにこらえきれなくなったのか…。
その場で、号泣した。
「うわぁぁぁぁんっ!!」
「うわ!?何で泣くんだよ!!」
大声で泣きじゃくる甘太郎を前に、ぼくはあたふたと手を動かす。
「あ~あ、今のは栄助が悪いわ」
樹がミニテーブルの上で肘をつきながら笑った。
「はぁ!?どういう事だよ___って」
抗議しようとしたぼくの視線の先。
一がポロポロとあふれる涙を指先でぬぐっているのが見えた。
「ちょっ…何で一まで泣いてるんだよ!!」
「だ、だって…こん、なの…ズルいですよ…!!」
「はぁ!?」
全く意味が分からない…!
何で感謝しただけでここまで泣かれるんだ…!?
ふと、樹が両手で顔をおおった。
「え~ん、え~ん」
「空気を読んで泣きマネするな!!」
「こんな事なら目薬とか持ってくればよかったな…」
「無理に泣かなくていいんだよ別に!!」
樹と話している間も2人の…特に甘太郎の涙は止まらない。
「うっ…うっ…!なん、で…!何で引っ越すんだよぉ…!!」
「それは家の___」
「知ってるっ…!分かってんだよぉ…!!」
ぼくの言葉を遮るように甘太郎が声を出した。



