「___ありがとう」
発したその一言に、3人の目が丸くなった。
そのまま、ぼくは言葉を続ける。
「ぼくのために、秘密基地を作ってくれて…ありがとう」
甘太郎が何か言いたげに口を開けて、閉じてを繰り返す。
樹は真剣な表情でぼくを見つめていて…一は穏やかな顔で優しく頷いていた。
ぼくは口を開く。
「家の事情で卒業したら引っ越すって決まって…最初にお前たちに伝えた。去年の4月…覚えてるか?」
「当然。けっこうショック受けたし」
樹が答える。
「僕なんて頭が真っ白になっちゃいましたよ」
そう言って、一が笑った。
「………」
甘太郎は何も言わずにぼくを見つめている。
ぼくは去年の4月を思い出しながらこう言った。
「ぼくが引っ越しの話をした瞬間、皆が暗い顔でうつむいちゃって…ぼくも泣きたくなって下を向いてた」
ぼくは甘太郎を見る。
彼と目が合った。
何かをこらえるかのように、強く唇を噛んでいる。
「そのとき…甘太郎が言ってくれたんだよな。“秘密基地を作ろうぜ”って…それが、ぼくらが顔を上げるきっかけだった」
それからは全員知ってのとおり。
秘密基地について4人で考えた。
…まぁ、ほぼ樹がまとめてくれたんだけど…。
とにかく。
甘太郎の一言で、ぼくらは顔をあげて…前を向いたんだ。
ぼくは甘太郎、樹、一を順番に見たあと…笑みを浮かべて言い放った。



