「そこは大丈夫!ちゃんと考えてるって」
ぼくの不安をかき消すように甘太郎がニカッと笑う。
「それじゃ皆、外に行くぞ!」
甘太郎を先頭にゾロゾロとテントから出ていく。
もちろん全員、手には卒業証書の紙を持ってだ。
風に飛ばされないように、指先にギュッと力をこめた。
「それで、これからどうするの?」
ぼくが問いかける。
甘太郎が両手を組み、胸を張って言い放った。
「伊草さんを呼ぶ!」
『あ~…』
“伊草さん”。
その名前が出た瞬間、ぼくたちは完全に理解した。
「伊草さんに撮ってもらうって事か…」
「そういう事!」
甘太郎が親指をグッと立てる。
あぁ、ぼくら、卒業しても伊草さんに頼ってしまうんだな…。
「というワケで、一!よろしく!」
「あはは…はい、承知しました」
苦笑する一がパチンと指を鳴らす。
すると木の陰からひょっこりと伊草さんが現れ、こちらへと走ってきた。
「お呼びでしょうか、坊ちゃん」
「伊草、僕たちの写真をこのカメラで撮影してください。お願いできますか?」
「もちろんでございます」
伊草さんがカメラを受け取り、ぼくらはその前で卒業証書を広げて集まる。
カメラを構え、どこか楽しげな様子の伊草さんが口を開いた。
「それでは、参ります」
3…
2…
1…!
パシャッと音がして、数分後に写真を受け取った。
皆の笑顔がしっかりと印刷されている。
写真はとても上手に撮られていた。



