「甘太郎、それってカメラか?」
甘太郎のカバンを指先で示す。
中からはみ出すように姿を見せていたのは、どこかで見覚えのある淡いピンク色のカメラだった。
…これ、なんて名前だっけ…?
ぼくが考えていると、持ち主である甘太郎が答えを口にした。
「おう!チェ○だ!妹が持ってたやつを借りてきた!」
「チ○キ?」
そうだ、そんな名前で呼ばれてたカメラだ。
使った事がないからよくわからないけど…。
確かその場で撮った写真が現像されて、カメラ本体から出てくるみたいなやつだっけ…。
「そんなの用意して、何を撮りたかったんだ?」
ぼくが聞くと、樹が何かに気づいたように声を上げた。
「…あ、もしかしてコレか?」
樹が卒業証書の入った筒を手にする。
甘太郎がそれを見てコクリと頷いた。
「そう!卒業記念に、皆で卒業証書を広げて写真でも撮ろうぜ!」
その言葉に皆で賛成の声を上げる。
「へぇ、いいじゃんそれ」
「そうですね!良い写真になると思います」
ぼくも2人に続こうとしたとき、頭の中に1つの疑問が浮かんだ。
「…でも、その写真って誰が撮るんだ?」
このカメラで自撮りするとなれば、だいぶ難易度が高くなりそうだけど…。



