「店であまってたやつ消費するの手伝ってくれ!ってチョコケーキもっていった」
「つまりあまり物をくれたんだよな」
「十院家の工場で勝手に作った刀型チョコ、食べるのを手伝ってもらえませんかって言いました」
「証拠隠滅に協力させられたっけ…」
ぼくが遠い目をしていると樹が呟いた。
「俺は栄助の事を思って、ちゃんとしたやつあげたじゃん?」
「小袋に入ってたキ○トカットを割って、上半分だけくれたよな。“今年の分”って言いながら」
キット○ットをパ○コみたいに渡してくるやつ初めてだったよ。
ぼくがそう続けて言うと、樹が笑った。
「来年の楽しみができただろ?」
「送ってくるつもりか?」
「うん。栄助が嫌じゃなければ」
「…嫌では、ない、けど」
___郵送なんて、手間がかかるだろ。
そう言いかけてぼくはそのまま黙りこむ。
テントの中が静かになってしまう。
全員、うつむいてテーブルを見つめていた。
あぁ、頭に浮かぶのは…どうしても“あの事”だ。
「ああ、もう!」
甘太郎が髪をぐしゃぐしゃとかき乱す。
そしてぼくに向かって、困ったように力なく笑った。
「…やっぱさ…。どうにもなんねぇの?」
ぼくが頷く。
こればかりは親の都合だ。
子供のぼくにはどうにもできない。
…どうにも、できなかった。



