乃々と貸し別荘の話






 別荘の坂を降りていって少し道を歩いていくと、神社の通りでお祭りをやっていた。

 遠くから見るとお祭りは宵闇にぼうっと明るく、人が沢山居て、そこだけ何か不思議な空気が漂っている。

 乃々が見上げると屋台の上に提灯が灯って点々と連なっていた。



「何買う?」



 人混みを避けながら蒼空が乃々に聞いた。



「綿あめ」



 乃々が言った。




「蒼空くん達は何食べたい?」 

「かき氷」




 恭が言った。


「僕も氷」


 蒼空が言った。





 乃々達は綿あめ屋の屋台へ行って、乃々の綿あめを買った。

 受け取ると袋に入っていた綿あめは大きくて、食べる前、乃々は全部は食べきれるか考えた。

 

 次に行ったかき氷屋の屋台で、蒼空はコーラ、恭はブルーハワイのかき氷を買った。



 歩きながら食べ物を食べると、通りには人が一杯居て、浴衣を着ている人も多く、中にはうちわを持っている人も居る。

 がやがやと話し声があちこちから聞こえて、どこからか太鼓の音がしていた。



「金魚掬いをやりたいけど駄目って言われちゃった。」



 連なる屋台の並びを歩きながら乃々が言った。




「お前本当に生き物好きだね。金魚も好きなの?」

「うん」

「持って帰ろうと思えば持って帰れるかも。水が少しあれば。」




 恭が言ったが、乃々は首を振った。 



 乃々がお面を買った後、三人は、母親達と話していたヨーヨー釣りをする事にした。

 ヨーヨー屋の屋台に行くと、長四角の水の入ったケースは照らされて、色とりどりのヨーヨーが沢山流れていた。


「ヨーヨーなんか、何が良いんだか」


 屋台の前に立って、蒼空がヨーヨーを釣りながら言った。


「お祭りでしか売ってないから、好きだけどな。」


 乃々が引っ掛けたヨーヨーを売り子に外して貰いながら言った。 


「しぼんだら水抜いて記念にするんだって。」


 しゃがんでヨーヨーを釣りながら、恭が言った。


「やって来いって言われた。結構面白いかも。黒沢さんと祭り来た記念に、僕は取っとくよ。」