乃々と貸し別荘の話






 キャンプ場の山道に入るまでは車に乗った。

 後ろの座席は三人で座っても広々としていた。


「帰ったら、夏休みの自由研究を仕上げなきゃならない」


 隣に座っている乃々のために窓を開けながら恭が言った。




「黒沢さん、自由研究、何にした?」

「朝顔」




 乃々が答えた。




「記録全然つけてないけど。調べれば出てくると思うんだ。」

「僕は氷の実験にした。」




 ペットボトルのお茶を飲みながら蒼空が言った。


「まとめまで終わってる。一番楽な自由研究だったな、多分」


 分別顔で蒼空は続けた。




「宿題は、簡単に効率良いのが一番賢いんだ。」

「ふーん。僕はやって楽しいのを選んだ。」




 恭が言った。




「その時の楽しさも大事にしなきゃね。変な事して時間無駄にしたくないし。」

「短時間だから、僕の時間は無駄になってない。嫌味な言い方するな。」

「別に。そんなつもりない。思い込み強いね。」

「……」




 仲の良くない2人と親子を乗せて、車はキャンプ場に入った。