乃々は、蒼空の部屋でお茶を飲んでいた。
氷を入れたアイスティーはキンキンに冷えている。
部屋にはカーテンが引かれて、眩しい陽の光が緩和されて丁度良い。
向かい合ったソファの片方では蒼空が寛いでいた。
「僕達しか居ない方が簡単だったね」
アイスティーの氷をスプーンで混ぜながら蒼空が言った。
「お前、新入りの事を考えたりしてないだろうな?。明日も山居に会うけど、気がある振りをしたら怒るから。」
乃々達は、次の日は乃々の母親と山道を散策に行く予定だった。
次の日のために、乃々達はサンダルでなくシューズをトランクに持って来ていた。
明日の散策も蒼空はこの調子だろう、と思って、乃々はちょっと辟易していた。
自分がこうやって蒼空と居る時、恭の方では何をやっているのだろう、とよく考える乃々は、仲間はずれにされる恭を少し気の毒に思っていた。
「山居のことはどうでも良いけど、お前には僕がちゃんと居るんだから、愛想を撒いたら許さない。ね?。」
乃々は、蒼空が自分を好きだという事と、自分が蒼空を好きだという事、それと恭と自分が仲良くするのはそれぞれ別問題な気がした。
みんなで仲良くすればいいのでは、と乃々は思っていたが、蒼空の方は全くそうは考えて居ない様だった。
蒼空は鷹揚に言った。
「まあ今は大目に見てやるけど、恋人のルール、ちゃんと守りなね」
乃々は、引っ込み思案で弱気な性格から、蒼空のそういう態度はもう慣れっこだった。
テーブルにアイスティーを置くと、乃々は、伸びをしてから、返事の代わりに小さくため息をついた。


