乃々と貸し別荘の話





 「これから友達の所に行くけど、ご飯とおやつは用意してあるわ」



 居間で絵を描いている乃々に向かって、ベッドルームで化粧をしながら母親が言った。



 乃々の母親は夏休みの間に、連絡を取り合っている友達みんなと会う、とはりきっていた。

 だから別荘に居る間も、乃々を置いてしょっちゅう出掛けて、乃々は一人で部屋に残る事が多かった。



「アイスクリームを買ってあるから、三人で食べなさい。午後は蒼空くんちのママも、恭くんちのママもお出掛けするって言ってる」



 母親は化粧を馴染ませようと笑い顔を作った。


 乃々は黙って、母親が着替えの部屋着を畳んでソファに掛けに来るのを見ていた。






 乃々が描いていたのはドレスを着たウサギの絵だった。

 中々うまく描けた様に思ったが色は付けなかった。

 描いた絵をメモ帳に挟むと、鉛筆をしまって、乃々はソファから降りた。