夕方になって、別荘のチャイムが鳴った。
乃々が出ていくと、引き戸は開いていて、色素の淡い母親と子供が入って来る所だった。
亜麻色の髪をした母親の方が乃々にすぐ気付いた。
「あら、こんにちは。乃々ちゃんでしょう?」
上品なベージュのワンピースを着た母親は、そう言うと玄関に荷物を置いた。
親子は来るまでに何か口論していたらしく、ちょっと機嫌が悪そうだった。
乃々は挨拶をした。
「あらありがとう。ほらあなたも、ちゃんと挨拶しなさいよ。乃々ちゃん、お母さん呼んで貰える?」
しゃがんで靴を並べている男の子の方は亜麻色というよりは金髪に近い髪をしていて、目を奪われるほど整った綺麗な顔をしていた。
「……」
男の子はむすっとした顔で乃々を一瞥すると、靴をしまって無言で立ち上がった。
はじめましてを言う隙がなかった。
男の子は唇を引き結んだまま乃々の方を見ずにスタスタとリビングへ入ってしまった。


