蒼空は、乃々に好意をよく表現して喋った。
好意は意地悪な形を取ったり、そっけない声音で言われたりしたが、乃々は蒼空が自分を想っているのは、なんとなくかんで分かる気がした。
「お前の事を、おばさんが捨てたら良いね。」
親達が買い物に出てしまった後のリビングで、ソファに座った蒼空が言った。
「友達みんなが、お前を虐めればいい。兎小屋の兎も、お前に寄り付かない。一人ぼっちで、誰からも相手にされなくなると良い」
乃々は、蒼空の向かい側で、リビングの壁に寄りかかったまま、辟易して俯いた。
蒼空は、座ったまま、隣にあった夏用のタオルを、両手で掲げて伸ばして、満足げに目を細めた。
蒼空から見て、リビングの天井は高く、二階のロビーの卓球台が、もしかしたら隙間の開いた手摺から見えているかもしれない。
「好きだっていうのが僕だけで、周りに僕しか居なくて、僕からお前が離れられなくなると良い。」
蒼空はタオルを降ろして乃々の方を向いた。
「ね。そう思わない?」
蒼空がにっこり笑った。
そうだね、とも言えない乃々は、蒼空から目を逸らして、困った顔をして、床の隅を見た。


