乃々と貸し別荘の話







 夜になったので、乃々と蒼空はビーサンを履いて外へ出た。


 庭は暗く静かで、リビングのカーテンの周りだけ明りが漏れている。


 買って来た花火を開けると、蒼空が空き缶のローソクに火を付けた。


 しゃがんだ乃々がライターから直接花火に火を付けようとすると、蒼空が乃々の頭を叩いた。


「危ないだろ。」


 蒼空が乃々を睨んだ。


「今度やったら取り上げるからな。」


 蒼空はしゃがむと、素知らぬ顔で乃々から取り上げたライターで自分の花火に火を付けた。




「自分はやってる。」

「僕は怪我しないから良いんだよ。なんか文句ある?。」




 乃々が俯くと、手元の花火は、次々と色を変えていく。




「学校が始まったら、友達にお前の事言うね」

「……」

「僕を大好きな女子が違う学校に居るって言う。お前も僕のことちゃんと言えよ。」

「……何て言えば良い?」

「恋人が居るって言いな。後は言わなくても別に良い。」

「友達、何て言うと思う?」

「さあ。僕達の事だからそんなに構わないだろ。」




 線香花火は、細く鳴り、パチパチと弾けた。

 蒼空と花火を見ながら、乃々は、なんとなく、ほう、とため息を吐いた。