乃々と貸し別荘の話





 別荘へ戻ると、乃々の母親が、リビングのテーブルで鞄をひっくり返していた。




「何してるの?」

「部屋の鍵探してるのよ」




 言いながら、乃々の母親はいつもネックレスを入れるポーチを開けた。

 乃々が見ると、ポーチからは、金の飾りのついた白粉の丸い入れ物や、艶々した黒いアイシャドウのケースが出て来たが、鍵は見当たらなかった。



「あったと思ったんだけど。どこに行ったのかしらね。知らない?」



 母親はポーチを辞めて、鞄をひっ搔き回しながら言った。




「知らない」

「おばさん、部屋探した?」

「探したんだけどないのよ。」




 鞄を開けて探っている母親の横に座って、乃々と蒼空は一緒に鍵を探し始めた。