乃々と貸し別荘の話







 別荘のお昼に母親達がピザを取った。

 11時半頃宅配が届き、昨日の残りの料理やジュースも出してテーブルの上は賑やかになった。

 乃々は朝作って置いたお茶を飲んでいた。

 冷蔵庫のお茶はしょっちゅう飲むので、いつも誰かが補充する分を作らなければならなかった。



 ロゴの入った白い蓋を、蒼空が開けると、大きいサイズの丸いピザが出て来た。


「僕ピザ好物」


 蒼空がピザを取りながら言った。


「そうなの?」


 乃々はテーブルを布巾で拭きながら言った。

 冷たいお茶のせいで、乃々のテーブルには丸い形に水が付いていた。




「全部食う。お前の分ないよ」

「……」




 がっついてセサミのを食べる蒼空に、乃々はシーフードのピザを取って、ちびちびと食べた。

 別荘にはテレビがあったが、休暇中はせっかくなので誰も付けなかった。

 いつも窓から明るい日光が別荘に差し込んだが、それは今日は、庭のテラスの白いシェードで遮断されていた。


「あ」


 乃々が自分の分に取り分けていたチーズのピザを、蒼空が横からひょいと摘んで口に入れた。




「ずるい」

「食うの遅いのが悪い」




 蒼空が言って、ピザを食べながら乃々にピースサインをした。