乃々と貸し別荘の話







 蒼空の部屋をノックすると、カチャリ、と戸を開けて蒼空が出て来た。


「お母さんが出掛けちゃった」


 乃々が言った。


「じゃあ今日は一日中僕んとこだな。入って。」


 蒼空に言われて、乃々は部屋に入った。



 一階の蒼空の部屋からは、広い庭の緑が一面によく見える。 向こうの方にプールも見えたが、窓から顔を出さなければそれは近くには見えなかった。



 部屋の奥へと進むと、居間のソファに座って蒼空の母親がお茶を飲んでいた。




「あら乃々ちゃん。お母さんは?」

「今日は乃々のママはお出掛けだって。」




 蒼空が代わりに答えて、ソファに腰掛けた。

 ソファは各部屋に2つずつしかないので、乃々は蒼空のソファに遊びで体重をかけながら立っていた。




「別荘生活、する事ないしな。大人なら人に会うのも手かも。」

「する事なくって幸せよ。蒼空、今日は何にもないから、あなた先に宿題でもしたら?。」




 蒼空の母親が蒼空を見た。




「やっても良いけど。いつでもできるしな。」

「まあそうだけど、早い方が良いでしょう。乃々ちゃんも一緒にどう?。乃々ちゃんも、宿題先に終わらせた方が良いでしょう?」

「……」

「そうしな、乃々。」




 蒼空が言った。 




「今日は自習ね。作文書こうっと。母さん、原稿用紙ある?」

「買ってあるわよ。今出すわ。」

「乃々、お前も宿題持ってきな。見てやるから。ダイニングで今日は勉強。」