甘々重々御曹司に愛されすぎて困ってます



「でも、まぁ、これから俺の秘書な訳だから。離れようとしても離れらんないね?」


唐突に顔を近づけられ、至近距離に思わず息を呑む。最低極まりないクズチャラ男。

だから本当は認めたくないけれど、顔はいい。

昨日とは違うセンター分けされた前髪は、榊原さんの整った顔面を余計に際立たせている。
鼻筋が通った高くツンと高い鼻、長いまつ毛は艶っぽさを含む奥2重を隙間なく囲んでいる。
少し色素の薄い茶色い瞳からはどこかあどなさすらも感じる。
そんな各々が既にパーフェクトのパーツが信じられないほど小さいお顔に黄金比の如く配置されている。

だから不覚にもドキッとしてしまう。
好きじゃないのに。



「じゃ、そういうことで。パーティーまで時間あるから、それまでに身支度済ませておいて。服とか諸々は坂場さんにお願いしてあるから」


そう言葉を投げ捨てて台風のように去っていった彼の後ろ姿を見ながら呆然とする。


「サカバさんって誰よ…」


これから先の事が思いやられて仕方がない。ポンコツな私にあんな自己中男の秘書が務まるのか。ていうかそもそも本当になんで私??


短時間のうちに何度も漏れるため息。大きな不安に駆られながら、行きより長く感じる廊下を猫背で歩く。

気づけば、所属部署のオフィスについていて、自席へと向かう。