榊原さんの信じられない言葉に、思わず視線を彼に向ける。
何かの聞き間違い…?それとも、これは夢…?
思考が停止し、榊原さんの顔を凝視したまま硬直する。
榊原さんが私をすき…?そんなまさか。そんなわけ…。
「金澤さんが好き」
そう言葉を紡いだ榊原さんの目はとても嘘をついているようには見えなくて、どこか熱を帯びたその視線に私はすっかり囚われてしまっていた。
「嫌なら、前みたいに避けて」
囁くようにして発されたその声と同時に、榊原さんの顔が私の視界を占拠し始める。鼻先が触れて、擽ったい。榊原さんの息遣いをすぐそこで感じる。
「…んっ」
下からそっと掬われるように唇が触れた。
短くて、優しいキスだった。
「あんたは…?俺の事、すき?」
顔が離れ、再び榊原さんと見つめ合う。
縋るように放たれた声に、言葉が出るより先に涙が零れ落ちた。
信じられない、まさか榊原さんに思ってもらえていたなんて。
滲む視界の中、榊原さんの言葉に何度も何度も首を縦に振る。
「わたしも…っ、私も榊原さんがすきです…っ」
矢先、覆い被さるようにして体を強く包み込まれる。
甘くて優しい香りがとても心地よく、安心する。
「あんた以外いらない」
耳元で聞こえたその声に応えるように、私はゆっくりと榊原さんの腰に手を回した。
____この日、私と榊原さんは本当の恋人同士になった。
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