いや、わかるけど!!忙しいのはわかるけど!!
もうちょっと色々話をしたいです社長!!
なんて私の悲痛の叫びは届くはずもなく。
私は苛立ちをぶつけるように、隣に立つ頭二個分ほど背の高い榊原さんを横目で睨みつけた。
「ワーコワイコワイ」
だめ、この人本当にむかつく。
呆れを通り越した私はそのまま無視して先に廊下を歩こうとしたが、すかさず右腕を掴まれる。
「いやーびっくりしたよ、ほんと。まさかここの社員だったとは。」
そう言ってヘラヘラと笑う榊原さんに余計腹が立って、私は勢いのまま口を開いた。
「昨日の、あれはただのノリですよね。社長にちゃんと言ってください。嘘だって」
「ノリじゃないけど。それに、あの提案はWinWinだろ?アンタは恋がしたい、俺はお見合いしなくていい理由が欲しい、付き合うには十分な理由」
な?と顔を覗き込むようにして悪びれもなく話される。こんな事になるんだったら、昨日ちゃんと断って帰るんだった。ほんと、私はいつも判断を間違える。
「私は別に恋がしたい訳じゃないです。絶対的味方が欲しかっただけです。」
「だから俺がなるって言ったじゃん」
「貴方にはなれません」
右手を思い切り振りほどき、そう短調的に伝えれば、榊原さんは溜め息をついた。ため息吐きたいのはこっちだっての!!!



