甘々重々御曹司に愛されすぎて困ってます



「ならあんたにもあのまま媚び売っとけばよかったね」


手を伸ばしてテーブルの真ん中に置かれていたビールを取り、プシュッといういい音の後、莉子はゴクゴクと喉を鳴らしながら流し込んだ。


「私は普通に友達になりたかったけど」


紙皿の上にのせたお肉を口に放り込む。
やっぱり美味しい。


「誰があんたなんかと友達になるのよ。」
「そっか」


莉子は慰労会の終わりまでずっとこんな感じで、初日会った時のような表情は全く持って見せてくれなかった。本当に私のことが嫌いなんだと思う。


莉子との気まずい食事時間も、気づけば長く過ごしていてたようで、そろそろ片付けに差し掛かった。


足首痛めてるんだからじっとしてて、とグループの皆には言われたものの、何もせずに座っているのは居心地が悪くて、ちょうど目の隅に入ったゴミ袋を回収所まで持っていこうと手に取った時だった。


「そういう所が嫌いだっていってんの、悲劇のヒロイン気取ってるみたいで」


横から強引にゴミ袋をひったくられたかと思えば、そこにはムスッとした顔をした莉子が私を睨むようにして立っていた。


「これは私が捨てに行くから。座ってればいいじゃん」
「え…」


まさかそんな言葉をかけてくれるとは思わず、口を開けたまま間抜けな顔をさらす。


「足のことは…、足のことは悪かったって思ってるから。それ以外は思ってないけど、私間違ってないし」


目を逸らして、若干早口で言われた言葉に少し頬が緩んだ。


「…いいよ。ゴミありがとう」



莉子とは最後までうまく話せなかったし、友達にもなれなかった。もちろんきちんと仲直り出来た訳でもない。
だけど彼女なりの謝罪と思いやりを受けた気がして、不思議と莉子に対する嫌悪感が少し薄れた気がした。


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