甘々重々御曹司に愛されすぎて困ってます



嫌な予感的中。

思わず風を切るような速さで榊原さんへ顔を向ける。そうすれば、ニコニコと貼り付けられたような綺麗な笑みを浮かべて社長を見る榊原さんが見え、ゾッとした。


この人、何を考えて____。


「だから今後、一切お見合いは受けないですから。ご心配なく。」


なるほど、そういう事。
色んな謎がスンと腑に落ちた。


「倫太郎…、そうか。まぁ、ならちょうど良い。」


社長が徐に榊原さんから私へと視線を移す。


「私がここに君を呼んだのは、倫太郎の秘書をお願いしようと思ったからなんだよ」
「ひ、秘書ですか?私が?えっと……それはなぜでしょうか……」


色んな事が一気に押し寄せてきて、正直脳内パニック状態。

昨日のチャラ男はまさかの御曹司で、その御曹司は私と付き合ってるだの許可なく社長に言い放った挙げ句、そんな性格難あり男の秘書になるだと……!?


「君だからだよ。お願い出来るね?金澤さん。」


〝金澤さん〟まさかたくさんの社員を抱える大手社長に私なんかの名前を直々に呼んでいただけるなんて。ましてや覚えてもらっているだなんて。もしかして認めてもらえている?…なんてありもしない期待をしてしまう。

だけどもしそうなら……応えたい、かも。


「わかりました。頑張ります」


つい溢れ出た言葉に自分でも驚きながら、真っ直ぐに社長を見つめ返した。


「ありがとう。そうと決まったら、今日は二人でパーティーに出席してもらいたい。よろしくね。」



〝詳細は倫太郎から聞いてくれたらいいからね〟という社長の言葉を最後に、私は榊原さんと一緒に社長室を半ば強引に出された。忙しいらしい。