甘々重々御曹司に愛されすぎて困ってます



「で、昨日倫太郎と何かあった?」


目が合うと、にこりと微笑まれる。
……この人、鋭い。なにかカメラでも仕掛けられてるんじゃないかと思うほど嫌なことにまで気づいてくる。


「何も無いですよ」
「…ふぅん?」


まるで見透かされているようで居心地が悪い。
私の返答に納得していない様子の柳さんは、畳み掛けるように「じゃあ」と続けた。


「僕の秘書になってくれない?」
「………へ?」
「言ったよね?昨日。〝沙雪ちゃんが欲しくなった〟って。あれ本気だよ」


急に真面目な顔で私の顔を見つめてくるものだから、つい戸惑う。


「いやでも、私たち違う会社ですよ…?」
「関係ないよ」


いつもの柔らかな表情はもうそこにはない。射抜くような鋭い目で私を捉えて離さない柳さんに少したじろぐ。


「それにあのキスだって本気だよ。だから意識して、僕のこと。…倫太郎以上に」


不意に優しく髪を撫でられ、肩を揺らす。

あまりにもストレートに告げられた言葉に声が出ない。そういうことを生まれてこの方初めて言われたから、かわし方も何も思いつかない。

気まずさに目を泳がせていると、柳さんがフハッと吹き出すように笑った。


「沙雪ちゃんは本当に可愛いね。ずっと見ていたい」
「か、からかわないでください!」
「可愛い。キスしていい?」
「き!?!だ、だめです!なんなんですか!?」


朝から柳さんに振り回されて既に体力ゼロ。こんなだる絡みが会場に着くまでずっと続いたのだから、なんの罰ゲームかと思った。