❁⃘*.゚
出勤して早々、社長室に呼び出されたかと思うと、そこには唖然とする事実が待ち構えていた。
「朝から呼んですまないね。こちら、私の息子、榊原倫太郎だ。次期社長候補として明日からここで働かせるつもりなんだよ。」
にこにこと優しそうに笑う社長を尻目に、私はおでこに汗が滲み出て来るのを感じた。
「…は」
つい声が漏れる。
どうしても思考が追いつかない。
とっとと家に帰って何もかもシャットアウトしてしまいたい程の惨事を起こしてしまったと全私が絶望している。
____だって今、私の目の前にいるのは、昨日付き合った(のか?)チャラ男だったのだから。
案の定、相手の彼も豆鉄砲を食らったような顔をして私を見ている。
と、思いきや……彼の口角が悪戯にニヤリと笑ったのを私は見逃さなかった。
なんだか、嫌な予感が、しますが……?
そんな私たちの妙な空気感を察知したのか、社長が何だ何だと口を開く。
「君たちもしかして知り合いなのかい?」
榊原グループ代表取締役社長 榊原暁。
そして昨日、偶然出会ったチャラ男こと榊原 倫太郎。
どうして私は、ケータイ番号を交換した時点でピンとこなかったのか。いや、気づけるはずもないか。榊原なんて別にめちゃくちゃ珍しい苗字でもないし。
思わずついてしまいそうなため息を堪え、榊原さんが変なことを言う前に手を打たなければと、体の向きを真っ直ぐ社長へと向ける。
そして「違います」と強めに言い放とうとした時だった。
「はい。この方とお付き合いしています」
「「は?」」
思わず社長と声が被った。



