甘々重々御曹司に愛されすぎて困ってます



榊原さんはそのまま私を抱き抱えながら、柳さんの方を一切振り向くことなく、小屋を出た。


「柳さんひとりで大丈夫でしょうか…」
「知らねえ。あいつなら大丈夫だろ。ほっとけばいい」


あまりにも冷たい言い草に、柳さんへの申し訳なさが募る。榊原さんが柳さんに怒る理由はない。だって、全て私の不注意さが原因なのだから。

寒い中探し回ってくれた榊原さん、私の身勝手な行動にも怒らず傍にいてくれた柳さん。私は2人に莫大な迷惑をかけている。

この場において、責められるべきなのは私ひとり。


「柳さんは私を心配してくれてただけで、何も悪くないです。閉じ込められちゃったのも全部私のせいです。迷惑をかけてしまって本当にすみません」
「迷惑とか、一瞬も思ったことない」



前を向いていた榊原さんの目が一瞬私を捉えたかと思えば、あっという間に逸らされた。なんだか今にも泣き出しそうな目をしていた気がして、思わず榊原さんの服をぎゅっと掴んだ。


「…金澤さん?」


そんな私の様子に気がついたのか、心配そうに榊原さんがそう声を上げる。

こんな状況のままBBQ会場に戻ってしまうのは嫌だ。戻ったらきっと、榊原さんと二人で話せなくなる。そしたら何でそんな悲しい顔をしているのか聞けなくなってしまう。

どうにかしたい…そんな思いの中ふと顔を上げた先にベンチが見えて、思わず声を張り上げた。


「あそこで!少し降ろしてください」