見上げるようにして真っ直ぐに私を見る柳さん。
「だからさっきも言ったよね?座って話してようって」
あんな時から気づいてた……?
思いがけない優しさに感情が乱れそうになって、私は思わず距離を取った。
「たっ!たたた大したことないんですって本当に!」
咄嗟に出た声はでかく、挙句の果てには吃りまくり。だけどあのままあの目を見ていたら、泣いてしまいそうで怖かった。
そんな弱くて面倒臭い所を柳さんに見せる訳にはいかない。榊原さんの秘書としてちゃんと認めてもらわなければいけないのだから。
私が今すべきことは明確だ。右手に持ってるバケツをとっとと片付け、柳さんに問題ないと思わせる。そして、とっととBBQ会場へ戻ること。
周りをキョロキョロ見渡し、それらしき小屋がないか探る。
と、そんな私の視線の先、小屋が1軒あった。
「小屋があったので、ちょっとバケツ返してきますっ」
そう言って踏み出した右足首が突き刺すように痛む。
だけどそんな事は今更だ。
痛む度顔を歪めながら、小屋へと駆け寄る。
やっとの思いでたどり着いたその場所に、颯爽と足を踏み入れたその時。



