甘々重々御曹司に愛されすぎて困ってます



「ていうか、そういう柳さんもモテモテじゃないですか。私なんかに構ってないで他の女性とお話でもしたらいいのに。」
「倫太郎ほどではないけど、確かに僕もモテるかも」


そう言って首を傾げながら上品に笑う柳さんは、やっぱり艶っぽい。ハーフアップに縛られた肩までの少し長めの髪がそれを更に助長している。


「はいはい」


なんて適当にあしらって一人で手を洗いに行こうとすると、不意に右腕を掴まれ、行く手を阻まれる。


「柳さん?」
「僕とここで話してようよ。他の女の子たちが倫太郎に良いところ見せようと必死にお肉焼いてくれてるし、出番ないよ」


そう言っていつの間にか引かれた椅子の上に、半ば強引に座らされる。


「確かにそうかもしれないですけど…。何もしないで食べるのは気が引けるので手伝ってきます」


柳さんの大きな手を、掴まれていない方の手で持ち上げると、私はいそいそとその場を去った。


女性の方たちとは「お肉焼いてー」「野菜焼いてー」みたいな、まるで業務内容のようなやり取りしか出来ないまま時間だけが過ぎ、気づけば食材もすっからかんになっていた。


BBQ中、終始榊原さんの隣には女性がいて、近づける隙は全くもってなし。このお肉美味しいねって、榊原さんと気持ちを共有したかったのに。


少し気持ちが沈みかけていた時、「ねえ」と5人組のうちの2人が私に声をかけてきた。


「は、はい、なんでしょうか」
「このバケツ、あっちの方にある小屋から持ってきたんだけど、返してきてくれない?」
「こ、小屋?」


冷たい言い方と視線。小屋って、そんなのここら辺にあるの…?そう聞こうとするも、既に2人の姿は榊原さんの元に吸い寄せられていて、知る術なし。


ーーー仕方ない、あっちの方って言ってたし、探してみるか。