甘々重々御曹司に愛されすぎて困ってます


「じゃあ俺たちはここで。」


そろそろこの人といるのも限界だ…と思っていたところに、榊原さんのその声が私を救った。ようやく柳さんと離れられると思い、嬉々と頭を下げ背を向け歩き始めたのだが。


なぜか、私たち二人の後に着いてくる柳さん。最初は後ろにいるだけだったのに、気づいたら私の横に並んで歩いてるし。



「あの、や、柳さん、なんでですか?」
「なんでですか とは?」


質問に質問で返すなーー!!と叫びたいところを抑える。

まぁ、100歩譲って着いてくるのはわかる、同じ会場だし。でも、わざわざ私の横に並ぶのはなぜ?ていうか、下の名前で呼ばれるような仲でもないはず。


そう地面を見ながら思考をぐるぐるさせていた矢先……


「ねえ、だめなの?」
「…っわ、」


地面と私の間に急に割って入ってきた柳さん。少し長めの前髪から覗く目がとてつもなく艶っぽい。


「べ、別にだめ、じゃない、ですけど…」

「よかった。ありがとう」


最悪だ、流されてしまった。助けてという思いで、隣の榊原さんを一瞥するが、心配してくれてるどころか真っ直ぐ前しか見ていない、且つ無表情。


そんな榊原さんに話しかけるのは少し勇気がいったけど、このまま柳さんと話していてはペースに飲まれて何かしくじりそうな気がしたので、少し無理やり榊原さんに話しかけた。


「結構人いますね。ざっと100人は居そうですよ」
「ああ」
「何するんでしょうね。緊張してきました」
「ああ」


え、まって。なんか、怒ってる………??

感情の入っていない返答とつっけんどんな態度。
榊原さんの顔を見上げるも変わらず無表情。その上、目も合わせようとしてくれない。