甘々重々御曹司に愛されすぎて困ってます



「そうだな、颯馬。嬉しいよ、会えて」


そう言いながら私と柳さんの距離を引き離すかのように間に割って入った榊原さんのおかげで、手が離れる。


「あの日は堅苦しい場だったから疲れたよね。ちゃんと話も出来なくて残念だった」


本当にそう思っているのかわからない胡散臭い笑顔のまま、柳さんはそう言葉を紡いだ。


榊原さんの影に隠れて立っているのも秘書としてなんだか情けなく感じたので、そっと横に並んだ。横目で榊原さんを一瞥すれば、仕事スイッチONの表情をしていることに気がつく。


やっぱり、柳さんのこと、意識してるんだな。


「颯馬は1人なのか?」
「うん、僕はひとりだよ。まだ秘書もつけてもらってないから」
「そうか」
「羨ましいな、沙雪ちゃんみたいな秘書がいて」


そんな言葉と同時に、柳さんの視線が私へと向けられたかと思えば、ニコリと微笑まれる。


げっ………。
なんとか微笑み返そうとするも、思わず笑顔が引き攣る。


「沙雪ちゃんは分かりやすいね。見てて面白いよ。からかいたくなる」
「あはは…なにをおっしゃいますやら……」


怖い、怖い怖い。さっきからずっと目が笑ってないし、絶対私のことよく思ってない。やっぱり柳さんは出来れば関わりたくないタイプの人だ。