そんな心境の私とは裏腹に、榊原さんがその声の主の方へ振り向く。
「颯馬?」
やっぱり…。あの柳颯馬だ。
「倫太郎も参加するんだね。嬉しいよ。…あれ?もしかして沙雪ちゃん?」
ぎくっ………。
唐突に呼ばれた自分の名前に肩を揺らす。振り向きたくない振り向きたくない、だって柳さんの顔を見たら嫌でもあの日を思い出す……恥をさらしたあの日を……。
けれど社会人として、そうもいかず。
「…お久しぶりです。柳さん」
笑顔を張り付け、嫌々振り返った。
「やっぱり沙雪ちゃんだ。久しぶり。近々会うことになるだろうなとは思っていたけど、こんなに早く会えるとは。嬉しいな」
「は、はぁ」
急に距離を詰めてこられたかと思うと、両手をすくい上げられ、戸惑う。
……この人何を考えてるのか分からなくて、やっぱり怖い。



