甘々重々御曹司に愛されすぎて困ってます



そう言って悪びれる様子もなく降参ポーズをキメる榊原さんに深くため息をついた。


「まぁ…分かったことは、やっぱ俺の秘書さんはすごいってことだな」

「なっ」


榊原さんはサラッとこういう事を言ってのける。慣れないからやめて欲しい。

ひとり不覚にも顔を赤らめている私になんぞ目もくれず、急に歩き始めた榊原さんに続く。

そんな彼の大きな背中は、ちっぽけな私にとってとても頼もしく見えた。


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「んで、これが取引先名簿な。全部に目通して。出来るだけ暗記。」


榊原さんの仕事部屋に着くやいなや、目の前にドンと置かれた大量の資料を見て思わず卒倒しそうになった。


けれど今更弱音を吐くことなんか出来ず、なんとか余裕の笑みを繕ってみせる。


「わかりました。」
「ん」


ここに来て分かったことは、榊原さんは意外と仕事熱心だということ。この人はちゃんと会社のことを考えているんだなと改めて思わされる。


「ではお邪魔かと思いますので、失礼します」


ぺこりと頭を下げ、踵を返した時。


「どこ行くんだ?そこで座って名簿暗記すればいいだろ」

「え?気が散りませんか?」