甘々重々御曹司に愛されすぎて困ってます



いつもの有山課長だ。優しくて、器が大きくて、立派な人。仕事が出来るのに威張ることなく謙虚な、まさにパーフェクト人間。もちろん同僚のみんなにとても慕われている。私とは正反対の人。


「でも本当に安心したよ、今の金澤さんの表情を見て」
「え?」
「私が推薦した手前、金澤さんが辛そうにしてたら申し訳ないからね〜」


課長が、私を推薦……?
あまりのカミングアウトに鯉のように口をパクパクさせていると、有山課長が「説明しよう」と言わんばかりに人差し指を立てた。


「えっとね、企画課からひとり秘書に相応しい人を推薦して欲しいって社長から話を受けたの。で、私がそこに金澤さんを推薦したってワケ」
「…スイセン……」
「他の部署からも数十人推薦者がいて、その中から社長が金澤さんを選んだんだね。見る目あるよね、社長は」


そう言って、なぜか誇らしげに腰に手を当てて笑う有山課長に私は思わず「でも」と声を漏らした。


「どうして私なんですか?要領悪くて、仕事できないのに。周りからもよく言われていたの課長も知っていましたよね」
「うん。でも、私は金澤さんの事を1度も仕事が出来ないだなんて思った事なかったから。確かに要領が悪い所はあった。でもそれは金澤さんのいい所でもあるよ」


私の肩に有山課長の手がゆっくりと触れた。


「だから自信を持って。金澤さんを悪くいう人達はほんの一部だよ。認めてる人はたくさんいた。3年間、本当にありがとうね」


真っ直ぐな目で見つめられながら投げかけられた暖かい言葉に、つい目の奥が熱くなる。