甘々重々御曹司に愛されすぎて困ってます



ここはとりあえず早く逃げよ…。

私はすぐさま見知らぬ男から目を逸らすと、落とした缶ビールを拾い上げ、足元に置いておいた袋に投げ入れた。


そして何事も無かったかのようにその男の後ろをそそくさと去ろうとしたのだが……


「ちょっと、まだ話してますよね僕たち」


それはさすがに失敗に終わったようだ。

袋を持っている方の腕を掴まれている。


「離していただけますか。私は会話してるつもりないですので」


目も合わさずにそういうと、男は急に大きなため息をわざとらしく吐いた。


「アンタさ、死のうとしてたんじゃないの?」
「はっ?ちが」
「こんなとこでビール片手に泣いてる人いたら、そう思わなくもないでしょ」


思わず視線を男に投げると、さっきまでの表情とは打って変わった無表情に近い顔をしていた。