笑いすぎて目尻に溜まった涙を指で拭ったあと、俺は金澤さんの顔を真っ直ぐに見つめた。
「金澤さんが俺の秘書になってくれてよかったよ。今日はありがとな。また明日からよろしく」
分かりやすく綻んでいく金澤さんにつられて、俺の口角も上がる。
「私、ポンコツですけど頑張ります。だから、頼ってくださいね」
「心強いね〜」
窓ガラスを上げて、車を出すよう運転手に告げる。
リアガラスから金澤さんの様子をそっと覗けば、律儀にまだこちらを見送る姿があった。
〝頼ってくださいね〟言われなくてもこれからはどんどん頼らせてもらう。色んな方面から。
〝お見合いをしなくていい理由〟始めは本当にそれだけの理由が欲しくて結んだ関係だった。面倒なことになりそうになったら切ればいい。そう思っていたけど。今はそう簡単に手放せそうにない。
金澤さんの顔を思い出し、無意識にニヤリと上がる口角。
明日からが楽しみだ。
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