それでも尚、心地よさそうに眠る金澤さんを見てため息をつく。
正直に言うと、あの時一人でいる決断をした理由には〝颯馬に会わせないため〟という事の他にもあった。
〝挨拶回りの時に、もしかしたら彼女が足を引っ張るかもしれない〟そう微かに思ったからだ。
最低だけど、あの時の俺はまだ金澤さんを信頼できる人間だと、頼れる人間だと思えていなかった。
社長が彼女を直々に推薦してきた事実、確かにこれはでかいけれど、初めて出会った時も企画課から去る時も、彼女は正直パッとしなかった。それどころか少し頼りなく感じていた。
だけど、あのステージで堂々と話す彼女の姿を見た時、俺が間違っていたのだとようやく気づいた。
別にあの場を適当に終わらせることだって出来たはず。俺に助けを求めることも出来たはず。でも金澤さんは真っ直ぐした目で、覚悟を持って、あの場にひとりで立った。
金澤さんは俺を〝手を差し伸べる事ができる〟そんな奴だと言ったけど、それは違う。俺は自分の利害しか考えられない人間だから。



