甘々重々御曹司に愛されすぎて困ってます



だめだ、そんな事したらこの最低サイコパスの思うツボ。高らかに笑い出すに違いない。

…そんなの嫌。私に期待してくれている社長にも、手を差し伸べてくれた榊原さんにも、迷惑かけたくない…!


こちらに走ってくる榊原さんから、会場のど真ん中に視線を向けた。


覚悟を決めろ、ポンコツ金澤!!


「この度は、このような素敵な場をお借りし、柳様にお祝いの言葉をお伝えできること、大変光栄に思います。改めまして、柳様、お誕生日おめでとうございます。」


一旦体を彼の方へ向け、軽く頭を下げる。
今この体を動かしているのは本当に自分なのか分からなくなりそうなほど、緊張している。


「私は榊原倫太郎の秘書で、彼をフォローをする立場にありますが、まだまだ未熟者の私は逆に支えてもらってばかりです。そんな私をこのような場に呼んでくださったこと、大変感謝いたします。」


声が震える。膝がこれでもかと言うほど笑っている。
上手く敬語を使えているかどうか、正しい文法で話せているかどうか、話している途中で気にかけている余裕などなくて。


「皆様を惹きつける魅力を持つ柳様と、周りを見てそっと救いの手を差し伸べる優しさを持つ榊原は、大変良い友人関係を築かれていると思います。今後もお二人の良いご関係を願って、お祝いの言葉とさせていただきます」


身体中が脈打っている。無我夢中でなんとか話終わり、最後まで気を抜かず丁寧に正面に頭を下げた。それを皮切りに、大きな拍手が会場を揺らす。